フライト中に窓越しに回転するプロペラを見ているとこんなのでよく飛行機が飛ぶなあと感心する。そしていつも自分はプロペラの真横の座席に座っている。あのときもそうだった。ポルトガルのリスボンからプロペラ機に乗ってアソーレス諸島に向かったフライト。もう8年前になってしまうのか。プロペラ機に乗ってアソーレス諸島で最初に降りたのがファイアル島(Ilha do Faial)。
空港のそとには緑の芝の丘しかみえない。タクシーでなんとか町にたどりついて投宿。町を散歩した。濃い霧、バー、民家の庭先にとりのこされた昔の砲台。galp社のガソリンスタンド、入江のむこうの煙突。閉店した電気屋、階段と教会。そして数秒ごとに変わる天気。雨が降ったり虹が出たり。スケッチしても紙がふやけて鉛筆が乗らない。わたしはこの島のこのオルタ(Horta)という町がアントニオ・タブッキの小説「島とクジラと女をめぐる断片(Donna di Porto Pim)」の舞台だということをしらなかった。嫁は知ってたみたいだけど。オフシーズンのさみしーい雰囲気の港町と鯨を象ったネオンと遠くに見える隣のピコ島のさんかくの山の記憶が今ごろになってようやくタブッキの小説の世界と符合する。もう一回あの群島に行きたい。それでなんだかいろいろ思い出してしまい描いたのがこの絵「ファイアル島の夜」。
小豆島MeiPAMでやってる「eto chito zu」展に並んでいます。
(結局展覧会の宣伝かよ)

