
デザイナーでBirds of Passageという名で旅の写真集を上梓されている作家でもある竹村朋子さん。
根津のcafe NOMADで出会った。名刺を頂いてびっくりした。
薄い木の名刺。緑色でpuff upレーベルの印。
竹村さんは凄い人なのだ。なぜなら竹村さんは私が高校生の頃からリスペクトしている音楽レーベルpuff upの仕事を手がけられていたからだ。
それではpuff upレーベルとは何か?
このレーベルのすべては90~92年のわずか2年のうちにリリースされた全部で8タイトルである。それのどれもが輝いている。すばらしい。もちろん今も聴く。高校の頃は若くてわからなかったものもしみじみ伝わってくる。
CDはジャケットデザインにもお金を掛けていた。当時としては異例の紙ジャケット、しかも独自の様式である。その装丁をされたのが竹村さんなのである。アルバムによっては同時に撮影小物のコーディネートもされている。
puff upレーベルの音楽の内容は親しみやすいものなのにマニアックな音楽ファンにしか聴いてもらえなかった。
ところが最近竹村さんからお知らせを頂いた。その長らく手に入らなかったCD8枚がデザイン新たに再発された、という。おそらくミュージシャンサイド以外では孤軍奮闘。竹村さんの努力のおかげである。
この8枚。思い入れを語らせてほしい。
●篠田昌已『東京チンドン』。日本の大道音楽への扉を開いてくれた。現在富山でチンドンの大会等行われているがこのアルバムが存在しなければここまで盛況でなかったかもしれない。ブックレットは書籍といっていいほどの厚み。
●駒沢裕城『フェリース』。なんて美しい音楽なんだ!
ペダルスティールギター。最初は女性の声だと思っていた。ペダルスティールギターによる美しいシンフォニーで、ひとりでこんな音楽が作れるのか!と衝撃を受けた。ジャケットのドローイングは駒沢さん本人によるもの。
●渡辺等『渡辺等とhililipom』中央アジアの架空民族音楽への憧憬と独自の面白い理論が共感を呼ぶ(当時キーボードの雑誌か何かで記事を切り抜き、読みふけったなあ)。
●村田陽一の『solid brass』これは最近まで知らなかった。高校生のブラスバンドに在籍していた時に聴いておきたかった究極のブラスバンド。
●清水一登の『yet somehow』私が知る最も美しいレコードジャケットである(今回の再リリースでデザインは改変されたがそれでも美しい。たしか清水一登さん本人の版画。)
●篠田昌已の『コンポステラ』とバンドになった●コンポステラの『1の知らせ』。思い入れが深すぎて書けない。とにかく先ずはこの2枚。聴いてください(土下座)。どうして日本の演歌や歌謡はこのような方向に進化しなかったのか。
●飯島晃の『コンボラキアスの音楽帖』。CDを再生させると明らかに部屋の空気の質感(とろろローンとなる)と時間の流れが変わってしまう奇妙で静かで美しい音楽。中毒性のある危ない作品。
puff upの音楽はこの発売元のサイトで
視聴可能。
また東急の文化村のナディッフでフェアーをやっているとの事。早速行って確認してきました。アルバムそろってた。感無量。
以下引用
今日から11/30まで、渋谷東急Bunkamura B1のナデイフモダンでPUFF UPレーベルフェアとして、レジ向かいのスペースに棚ができました。もし近くに お出になることがありましたら、ぜひお立ち寄りください。
美術館とフランス風のカフェに面している店で、アート本やCD、洋書、面白いグッズなど、品揃えが豊富です。
http://www.nadiff.com/shopinfo/shoplist/modern.html引用終puff upレーベルの音楽は伝説だけど、当の音楽家にとっては当然今の音楽を追って欲しいと願っている。彼らの現在の活動は同様に素晴らしい音楽レーベル
off noteのアルバムやライブで接する事ができます。こちらもぜひ。
11/23付記
高校の頃、広島のド田舎に住んでいた私がなぜこのような音楽を知っていたかというと一冊の本のおかげである。
それは『地球の音を聴く』という当時バイブル的に読んでいた世界の音楽のディスクガイド本 の事で、この本にpuff upのタイトルのいくつかやレーベルオーナーだった藤井暁氏のエッセイが紹介されていたのである。それで、コンポステラを聴き、駒沢さんのfelizを聴き、とどんどんpuff upレーベルの音楽が好きになって行ったのであった。(ついでに言えばこの本『地球の音を聴く』も当時の自分に与えた影響がすごい。キングレコードのユーロ・トラッドシリーズ、流行前だったアイリッシュミュージック、それにピアソラを知ったのもこの本だし、 ミルトンのanimaというアルバムが載っていたのもこれ、はたまた細野晴臣のomni sight seeing…まで…といろいろ教えてくれた。問題はレコードを買うおカネがない事であった。)
12/13追記
気づいた方へ。27日は上記渋谷ナディッフで駒沢裕城さんのミニインストアライブがあります。
12/27(日)14時と16時から30分くらいずつ、
また対談ゲストで、関島岳郎さんも参加されます。との事。