12/31/2023

31. Décembre

 






2023年が行ってしまう。

2年前、自宅の100程ある植木の鉢にダンゴムシが大発生して、自由気ままにお散歩を開始。
家族や周りの住民に諫められ、いよいよ仕事場を新しい場所にうつし、植物の鉢も引っ越すこととなった。
引っ越しはすごく大変だった。小さい仕事場の空間にあんなに荷物があったのかと。
ダンゴムシ団がわたしの人生の軌道を少し変えた。

しかし、よく考えたら、引っ越しを決めてからはダンゴムシはまったく現れていない様子なのである。
いったいどういうことなのか。首をかしげながら新しい年へ。

*

お知らせ

来年1月5日、6日。
展示をさせていただいている熊本の「さかむら」に居ります。
熊本の、あるいはご旅行のみなさま、ぜひお会いしましょう。

花と骨董さかむら
〒860-0842 熊本市中央区南千反畑5-15
℡ 090-9397-6501




12/28/2023

28.Décembre

仕事場を本日移転。
広島市中区猫屋町から呉市安浦町へ。

猫屋町は路面電車の土橋と十日市、本川町の電停の間に位置し、とても便利だった。
住所名が評判よかった。どんだけ猫好きなんだみなさん。

たった8畳の空間なのに、いやだからこそか、とても仕事に集中できた。
街の中心なのにすごく静か。時おり路面電車の音がかすかに聞こえる。
どこかでコーヒーを焙煎する香りがする日もあった。
窓が大きくて開放感がある部屋だった。だから夏は酷暑、冬は激さむ。
でもさすがに、積もった絵の地層の中での作業が大変になってきた。


12年間ありがとうcat town studio. 明日もお掃除に行くけど。


12/24/2023

24.Décembre (Joyeux Noël)


URESICAにて。

とある常連の客がウレシカ店主Dに、これ庭で採れたから、とレモンやゆずをかなり大量に差し出した。レモンはもう伐ってしまうんだ、とその人は言っていた。
よい香りが広がって、その後しばらくしてレモンの絵が売れた。
最後のレモンの香りのおかげで絵が売れたのかもしれない。

その日は冬至であり、D氏がゆずを「今日冬至だからこれお風呂に」と夕方くらいからの客に次々に手渡す。
冬の街にランプが点ったみたいな日だった。



12/19/2023

nakaban expo at URESICA "Lamps"

 


いつも直前の個展のお知らせ。
21日から、東京、西荻窪のURESICAで個展、名付けて「Lamps」では20点ほどの油彩を展示させていただく。
そして店舗の1階では偕成社から刊行された絵本「ダーラナのひ」の原画展。
「ダーラナのひ」最高なのでぜひご覧いただけたら嬉しい。

ギリギリまでの制作がほぼ終わって、今はまだ細かな作業があるのだけどランプの灯りの下で休んでる気分。
初日21日はURESICAにおります。
リペア用に絵の具を持参するのでまた絵を描いているかも。

それにしても熊本のsakamura、そしてURESICAと大きな年越し個展が同時にふたつ。
しかもテーマが似ているw。笑
さらに本・中川さん「トラタのりんご」とB&Bの「ロマネスクと私」の展示も開催中。京都の恵文社では「さがるまーた」の棍棒バアアアンの絵も飾っていただいているそうだ。
加えてわたしは作業場の引っ越し中で、さすがに大変な12月なのだが、このように負荷がかかると、描く絵が自分の現在地に馴染んでくれるように思う。麦踏みのようなもの。自分の本体はまあ大変でぼろぼろなのだが、こういう時の方が自分観察しやすいと思った。
(でも原稿や絵本のラフがあちこちで止まっており、多大なご迷惑をおかけ中でもあり、、、年末年始頑張ります)

心の声ダダ漏れで書いたけど、12月は絵と向かい合えて嬉しい幸せな日々だった。
あ、東京に向かう前にほんとに畑で麦踏みしなければ。


nakaban expo 2023~2024
"Lamps"

前期:2023年 12月21日(木)~25日(月)
後期:2024年 1月4日(木)~1月15日(月)
◎年末年始休業:12月26日(火)~1月3日(水)を挟みます
open:12時~19時     


URESICA
〒167-0042 東京都杉並区西荻北2-27-9
tel: 03-5382-0599
WEBSITE: uresica.com  /  onlineshop: uresica.net
 closed:火・水

12/17/2023

「さがるまーた」に載っている「棍棒バアアアン」




「さがるまーた」は新創刊の 絵本雑誌。

11月末発売から半月、とても話題になっているようだ。

同誌に棍棒で話題の東 樫さんの作で、わたしが絵を担当させていただいた読み切り短編絵本「棍棒バアアアン」が掲載されている。この雑誌に参加できて光栄。

テキストは、ドッカアアンとかバアアアンとか、擬音ばかりだったので、とりあえず東さんが棍棒を振り回しておられる奈良の地へ取材に向かった。
わたしは東さんの東「千茅」名義でのご著書「人類堆肥化計画」を楽しく拝読しており、ますます興味が湧いた。今、東さんを夢中にさせている棍棒とは何か。

電車とバスを乗り継いでまず大宇陀のグランドに向かう。東さんが仲間と共に考案した「棍棒」を使った独自の競技、その練習場である。
この競技は棍棒で棍棒を打撃し叩き飛ばす。それをまた棍棒で打ち返す。砲丸投げ、野球、ゴルフ、アイスホッケーなどの要素が取り込まれたルールはまだ発展途上らしい。

山で伐ったいろんな樹を加工した棍棒が並んでいる。加工といっても、樹が「材」になるだいぶ手前の加工度なので、何やらそこにはまだ森の霊力のようなものが残存した呪具のような畏れ多さを感じる。「これが棍棒か」。参加者のみなさんはすでに棍棒の魅力に囚われているようだ。おのおのの手に馴染む棍棒を選び、それぞれ独自の殴打フォームを完成させている。わたしも何度か打たせてもらったが、打撃の瞬間、狂気のような振り切れ感があって、自分、怖!と思った。

場所を移動して「人類堆肥化計画」に書かれていた畑も見学させてもらう。小川の流れる山林と棚田。最高の場所だった。外からはこんなところがあるなんて全然わからない。東さんが棍棒に夢中になりすぎてちょっと畑が荒れていたのがなんか良かった。

そしてそこには棍棒競技の特訓場があった。そこまでやるのか。グランドで見た東さんのぐるんと回転して棍棒を振り下ろす美しい打撃フォームはここで完成したのだろうか。わたしもいつか自分の棍棒の振り回し方と出会わなければいけないような気がしてきた。

さて、肝心の絵はどんな風になったか。兎に角、描き終わったときの気分が痛快だった!とだけ書いておく。わたしも棍棒とまではいかないが、いろいろな枝を集めて室内に飾っている。(最近その集める枝が小枝だったのがどんどん太くなってきているのが気になるがw)植物の組織のうねりや分岐、ベージュや茶色の奥深さ、さまざまなテクスチャが楽しい。

わたしは「植物」とは、その形状や生態の不思議さから、外界へ向けられた何らかのアンテナではあるまいかと思っているので、東さんのテキストの中で巨木がドカアアンと伐採され、棍棒がバアアアンとつくり出され、人から人の手へと渡ってゆき、競技になって、そして、お終いには「宇宙誕生」というところまで持っていくというテキストの流れは案外強引ではなかったと感じている。

「さがるまーた」は強力な絵本の短編で埋めつくされた雑誌だ。ポスターや別冊絵本までついている。わたしの個人的恩人編集者たちの対談もある。

講談社の編集者がたったひとりで作り上げた。わたしがあまり気にするべきことではないけど、将来この本にはプレミアムがつくのではないかと思っている。アートの名雑誌「ミノトール」や「漢聲」のようになってしまうのかも?

ぜひ雑誌「さがるまーた」創刊号をゲットしてご覧いただけたら嬉しいです。

ナカバアアアン拝。






12/12/2023

nakaban expo at sakamura 「Gento 〜とてもさむい冬のまぼろしの灯」



15日から、熊本「さかむら」で展覧会。
こちらの画像はポスター。
タイトルはさかむらさんがつけてくれた。

今回は展示制作が重なっていて初日に行けません。ごめんなさい。
熊本の友人たちに会いたいな〜。

絵の制作はそれはそれはとても頑張った。
「さかむら」の素敵な店内に馴染んでくれますように(祈)。

Gento 〜とてもさむい冬のまぼろしの灯

nakaban expo 15.Dec, 2023 - 21. Jan, 2024 
さかむらopen: 13:00〜21:00 日曜・月曜定休
〒860-0842 熊本市中央区南千反畑町5-15
電話 090-9397-6501


東京では西荻窪のURESICAさんで展示があって、21日から。
こちらは「Lamps」というタイトルで、このさかむらの展示と通じるものがある。
+URESICA一階では「ダーラナのひ」の原画も額装され展示。盛りだくさん。

もうね、制作三昧で絵の中に住んでるような感覚。
またすぐに、じっくりお知らせさせていただきます。


12/09/2023

Secret Live!

 







極月に入り、某日某所にてNyaboSsebo+nakabanのシークレットなライブが実施された。
観客はその場に居合わせた、わたしたちを知らない初めてのひとたちだけ。
クラリネット: 黒川紗恵子 ギター: 田中庸介 声: 神田智子 絵: nakaban

わたしたちの作品についてはこちら→

12/01/2023

本・中川 で『トラタのりんご』絵本原画展

 





松本の「本・中川」で、絵本『トラタのりんご』の展覧会。
会期は12月5日から来年1月8日まで。
初日の5日はわたしも現場におります。
久しぶりの松本(寒そ〜)。
移転して新しくなった本・中川ははじめてで、とても楽しみ。
りんごの絵も販売予定。

本・中川 > 

11/30/2023

Field Studies (4)

 







数カ所に穴を掘りしばらく満足していたが、その穴に枝を詰めた。
薪ストーブで炭をつくりそれも穴に投入。
牡蠣の殻をハンマーで割り、ばら撒く。
地中から次々出てくるレンガを積む。
果樹に絡みついた蔦をとりのぞく。

勘にまかせて、30分程度やることを決める。
とにかく楽しくて何をしても全ての行動に絵画と同じようにゲーム性があるように思う。

古い畳を土壁用にとってあったのだが、ふと、カッターナイフを入れて藁をむしり出して地面を覆ってみた。
畳一枚でも相当な面積を覆えることがわかった。
静まり返った野原。来年見てろよという気持ち。
あまりに灰色で寂しいのでアーティチョークを植えた。冬植えでも多分いける。

11/24/2023

〈nakaban+工芸青花「Anno Domini ロマネスクと私」〉小さな巡回展


ロマネスク美術(L'art roman)と自分の絵、全く関係ないようで、ぐっと関係が深くなってしまったと思っている。いわば、自分の絵を裏打ちしてくれているような世界。もちろん片想いである。
そうなのだけど、そういうふうに思いながら制作していると、古の世界と時間を超えてつながっているように、絵を描くときに心にいい風が吹いてくる。

丸みを帯びたかたち、アーチを多用する建物の様式、木と石のバランス、ひとに対するものの大きさの感覚など、影響を受けている?というのか?それを知るずっと前から自分の好み、気質が「それ」だったので、そういう自分にとって夢のような世界が昔の西洋にあったのかとびっくりしたのだった。
と書いているとまたいろいろ語りたくなってくる。。

お知らせ

2019年、工芸青花でおこなった「Anno Domini ロマネスクと私」展が東京のB&Bに巡回。
会期は11月25日から12月28日まで。

ロマネスク美術そしてzodiaque叢書への(自分なりの)オマージュ的な特別な展示だった。
その展示のあとに、作品を集めた素敵なポストカードのセット《Lettres à “Z”》を作っていただいたのだが、こちらも販売予定。

B&Bさんにぜひお出かけいただけたら嬉しいです。

くわしくはこちら

11/22/2023

「針と糸」


小川糸さんのエッセイ「針と糸」(朝日文庫)はとても人気の作品のようで7刷に。

新たなオビをつける、ということでお受けした装画は全オビと呼ぶものらしく、全体をカバーするもの。なじみとなった人気作品の本の印象を一新するためのものなのだそうだ。

ほとんど表紙、なのでこれをめくったらオリジナルの表紙があり、2枚の絵が楽しめる。上部にクリーム色の部分があるでしょう、これがオリジナルの表紙の部分。
ちょっとサイズが違うのは、これはオビですよと表明するということなのだろう。

両方とも装丁デザインは芥陽子さんだ。わたしは線画と水彩グラデーションを描いて芥さんが仕立てた。

日本でヨーロッパで自由に軽やかに生きる小川さんのエッセイ。
この機会に読み返してみようか。

11/20/2023

絵本「水はうたいます」

 

まど・みちおさんの詩「水はうたいます」が絵本に。
絵を担当させていただいた。
暑い夏の間、この絵本にとりかかっていたので、心の中は涼しかった。

編集の松田素子さんに作りかけのスケッチを見てもらった時に、オーケストラによるシンフォニーのようになるのではないか、という言葉をいただいて、一気に仕上がっていった。

一滴の朝つゆから、変化をしながらどこまでも旅をする水。
この詩はこんな言葉で締め括られる。

「水である自分の えいえんを」

まどさんがどうしてあの言葉を最後に書いたのか。
わたしは、ずいぶん前から自分の本体は水なのかもしれないと思っている。
意識的にも物質的にも。(タルコフスキーの映画の影響?)

だからその言葉を読んだとき驚いた。
サラッと最後にすごいの書いてあるなあ、と。
まあ、こんな話を掘り進めたらこの絵本とはまた違った話になりそうではあるけど。

それで、わたしは水のそばの人物や人の暮らしを描いた方がいいのではないかと松田素子さんとたくさん議論したけど、結局描かないことになった。
それでよかったのだと思う。水が変化しながら旅してゆくさまをただただ描く。そのことによって「水である自分」感じてもらえたらいいと思う。

書影の写真を撮ったけど午後の光があたってしまって、実物とはまた違った印象。
オビは青い素敵な色です。デザインはタカハシデザイン室(高橋雅之さん)。
なお表紙の絵は魚が泳ぎながら見ている水の世界はどんなだろうかと想像して描いた。

この絵本についての詳しくは、理論社のページをどうぞ。

10/29/2023

29.Octobre

 

あっというまに最終日。

10/14/2023

READAN"DEAT で『トラタのりんご』絵本原画展




広島、本川町のREADAN'DEATで、絵本『トラタのりんご』の展覧会。
READAN'DEATは、ここ広島の街の誇るカルチャースポット。
そんな場所で、21日の夕に、この絵本についてお話しさせていただく機会を頂いた。
このギャラリートークはインスタライブでもあって、現場にお越しいただくのもネット経由でも全て無料なので是非お店のアカウントに飛んでおききください。
りんごの絵も販売予定。
詳しくはこちらのお店の公式ブログをご覧ください。>

10/06/2023

Field Studies (3)

 




りんごの木を植えた。(コーンウォールのりんご)。
枝がしなるのでぐるぐる曲げて電車で運んだ。
よく考えたらあまり地面にこうやって木を植えたことはなくて、特別な気持ちになった。
わたしが死んだ後もずっと残っていくはず。

りんごの授粉樹としては、ポットに入った苗をまだまだ、たくさん所有している。
わたしは見境なく果樹苗を買ってしまうのである。

レモンも植えた。珍しい上記のりんごとは違ってリスボンというどこのホームセンターでも売られている一般的な品種。
広島の名産品種でもある。
このリスボンは以前、畑付きの団地に住んでいた頃に育てたことがあり、実が50個は採れる樹に成長したのだが、畑の管理人のような人物に斬られてしまった悲しい思い出が。

どこを掘っても石が出てくる理由が判明。
庭のあった場所にも昔、家が建っていて、その基礎らしい。








10/02/2023

2.Octobre

 







わ。十月になってしまった。
October, Octobre これ、Oct. は"8"という意味なのに"10月"で、このズレに意味があったのを何かの本で読んだことがあるが、わすれてしまった。深い意味に感心しても案外忘れる。
ゆっくり読書したい。

9/28/2023

玉村豊男のポテトブック

 



新刊「玉村豊男のポテトブック」が朝日出版社から刊行された。
素晴らしいイラストレータたちに混ぜていただき、カットをふたつほど描いた。
フランスに暮らした後、長野でワイナリーを経営、畑や料理もやって、なにより文章が絶品な玉村さん。彼でなくては書けない本だ。

9/22/2023

22.Septembre


ほぼ毎日、朝、仕事場に着く前にスーパーマーケットに寄って食材を買っている。
最近いろいろな商品が高価になって商品が動いていない。売れ残り必至状態。
売る方にも買う方にも良くない状況だなあ、とぼんやり思っていたら、新聞社の街頭取材を頼まれてしまった。

・ちょっと前の値段感が染み付いているので何も買えません。
・家庭菜園やろうと思ってる。
・栄養学をかじって購入品目をメッチャ厳選してる。

などと答えた。はたして掲載されるだろうか?

新聞社のひとは異常気象や災害が原因の値上がりですかね〜と言っていた。
わたしは消費税のしわ寄せがだいぶ大きいと思う。(全ての過程にかかる10%)
それは言わなかったけどいちばん言っておくことだった。

あとスーパーマーケットも規格外大きさやのキズやありの野菜をならべることにも寛容になってほしいこととか。

農業は肥料代や資材代の高騰の煽りを受けているので、それも野菜の値上がりの原因なのだろう。少しずつでも肥料や農薬にお金をかけない自然農法が増えたらいいなと思う。

場違いな肥料の与えすぎの、その場の状態をバランスするために、どこからともなく虫や細菌がやってくるというのは趣味レベルの植物栽培をしているわたしでも実感しているのだ。(だから虫や細菌は悪者ではない。)

そういえば、今出てる農文協の「現代農業」は不耕起栽培の特集だったので、おどろいた。農家はみんなこの雑誌を読んでいる。農家ではない趣味のひとが読んでもとても面白い雑誌。
まあ実際に不耕起栽培にチェンジする農家は少ないと思うけど、少しづつ変わっていくのかな。

マルチと緑肥用に畑で草を倒すのにドラム缶をローラーがわりに使っているのだと。ドラム缶がたくさん売れたりしたら、面白い。
今度わたしの空想風景画の中に、農村風景を描きたくなったなら、ドラム缶を押し回す農夫を描いてみたい。


9/21/2023

本日「本とこラジオ」




おしらせ(急)。本日13時から。
矢萩多聞さんといわながさとこさんのネットラジオ「本とこラジオ」でお話し。
『風をとおすレッスン』(創元社)を最近一緒に作った関係で(矢萩多聞さんがデザイン)お呼びいただいた。

アーカイヴも残されるようだ。
https://www.hontoco.net


9/17/2023

Field Studies (2)

 



剪定した枝は細かく刻みチップにして撒いておいた。
数日経ち、再び現場を訪れると何かクローバーのような芽が発芽している。
見えない手が、目の前に差し出してくれたような良い形。



何か木を植えようと穴を掘ると、カチン!どこもかしこも石に当たり、なかなか地面にシャベルが入らない。
これは意図的に埋められているとしか思えない。昔、石垣か何かに使われた石ではないか。
掘れば掘る程無限に出てくる。
この石は石積みで何かを作る野望のために保存しておく。


重労働で疲れてきたら落ちた柿を探す。
糖のせいか、何らかのフィトケミカルのせいか、中に虫などは入らず、きれいなものだ。




9/12/2023

9/07/2023

Field Studies (1)

 



新しい作業場を作ろうとしている。
といいつつ、その場所は自分でも気楽に通えない遠い港町。
土地と建物は世の中的には安いのだろうが、わたしには高い買い物。
「すっからかん」になったので、いろいろ設備が壊れているけど暫くはなおせない。
でも家屋の部分にはあまり情熱がない。とにかく植生、土、そして井戸水。

その庭は荒れ野のようでいて調和がある。
どういうふうに太陽光を入れて行くのがいいのだろうか。
好きに刈り取ったり植えたりしていくと、おそらくこのかっこよさが失われる。

蜘蛛の巣が張ってそれも古くなり蜘蛛も居なくなり枯れ葉などが絡まった枝がある。
伐ってもいいという合図ではないだろうか。


9/01/2023

1.Septembre

 

この夏はずっとある絵本のための絵を描いていた。
描き終わったら夏が終わってた。

その日々でふと思ったこと。
水が流れたり凍ったり気体になったり。そういうことを子ども時代に習ったわけだけど、それで何かを知ったつもりであったが、結局何も知れてないなあと思ったのだ。それは単に観察結果による法則を習っただけで、ああいうふうに、凍ったり、雪の結晶になったり、湖なんかでも常に色の帯び方が違うということの本当の理由は全くわからない。

中世の昔では科学はなぜ物質は「こうなりたい」のか、とモノの意志に同調して思考する学問であったのだという。だから科学者はまるで詩人のようでなければならなかった。すぐにレファレンスにあたらない。まずは考えるっていうのがいいなあと思う。

例えばゲーテのような詩人であるなら「不思議だねえ」で止まってまったりしていてはだめだったのだ。不思議というワードが浮かんだということは、素晴らしいこと。でも、「不思議だねえ〜」とまったりしてはもったい無い。そこがもっと深入りしていくための起点なのだ。

現代はデータの蓄積は過去最高に違いないが、わたしはデータがそんなに偉いのかという気持ちになっている。このコロナ禍での数字に踊らされての社会の右往左往、ひどかった。その数字の根拠もいい加減なものばかりで、ひどいものだった。

何か、現代人の学習には何かが根本的に欠けてるのではないかと思うのだ。
もっというと、そのように社会がデザインされている。
だからロボットみたいな判断ばかりになって、ルールをつくる存在たちにいとも簡単に騙されてしまう。

さて、なぜ雪の結晶はあんなにきれいで、そんなすごく複雑神秘な宝石のような結晶が大量に溶けた水を飲んで、ひとは平静な気持ちでいられるのだろうか。
本当だったら平気じゃないよね。心が爆発するはずだ。しないか。笑。

そういうことを考えるのが案外生きてる意味かもしれない。そうやって川を眺めたり水を飲んで暮らしていくとか、すごく大事だと思うんだけどね。

AIが社会に登場して来たのでロボットはあっちにやってもらって、人間は思考の方向性をぐるっと変える時期に来ているのかも。そんなふうに思ってる。

8/26/2023

26.Août

 




世羅の梨。
これから楽しみにしていたつぶつぶを描こうとした段階で、緑の梨の方のマチエールの横線が気になり始め、一旦乾燥させたのちナイフで削るつもり。
絵の具を厚盛りしても、こういうのはごまかせない。
待ってると梨は傷んでしまうので、もう食べてしまっていいだろうか?

8/25/2023

25.Août

 











すっかり久しぶりの更新だ。
わたしは楽しく過ごしている。
毎日、朝も早よから延々と鉢植えにじゃぶじゃぶと水やりの日々だった。
最近「あ、もういいです。ピークは過ぎたんで」と植物に言われた。

でも夏の余熱はまだまだ続く。
残暑を乗り切って、風薫る秋に!会いましょう。