今度の展覧会もいつものようにぎりぎりの宅急便に間に合った。
と、いいつつ大きなの二つがまだ未完成だ。
これらは手持ちでcaloに運ぶ。
展示制作の終盤にもなると画家というより額縁屋さんになる。
写真の絵のこの額装方法のことをわたしは「仮額」と呼んでいる。
画家が自分のアトリエにかけておく、制作途中に眺めるための仮額装。
いや、「額装」とはいえないほどのシンプルさであり、要は細切れの板を側面に貼ってあるだけのものだ。
「仮額」は古今の作家のアトリエの写真集にも見られる。
なかなか素敵なので、こういうのってどこで売っているのだ?と調べたけれど、そんなの売っているはずはない。板を買えばいいだけだ。
わたしは粗末ながらも自由な感じのこの仕立て方が好きで、2月の「さかむら」での展示でも使った。
周囲の板は釘に少しの接着剤をつけて刺して留めてあるだけにしてある。
なので描き直したいなと思ってもすぐに外せる。
絵を買った人でも外して額に入れたいなと考える人もいるかもしれないし。
そういえば阿部海太さんもこの額で展示していた。やっぱりこれだよね、と盛り上がった。
そしてこの額装方法は思わぬ利点もあった。この板の出っ張りのおかげで油彩の絵具が乾いていない状態でも運びやすいのだ。なので例えば野外で絵を描くときにも良いだろう。まあ、ただし板を打ち付けてしまうと隅っこのところは塗りにくいけれど。
さて、今回のcaloの展示はすべてこの方法で。
古材のものと、新材の2種を試している。
新材の方は少し浮いているけれど年月と共に木も馴染んでゆくだろう、と希望的解釈。
明日は二枚の絵といっしょに新幹線に乗る。