5/10/2025

10.Mai

 

本の轍さんでの展示は明日まで。
庭、風景、旅。土を連想しながら制作した画の連作を展示していただいている。

いろいろな土地で土を手に乗せてみる。石が砕けてできた砂や雲母片、枯れた植物や動物の死骸などの有機物、貝殻のような有機物と鉱物の中間のような存在、炭化した木の組織、苔類の粉末、陶片や貝殻などの存在に気づく。
旅人に土の一握りを大切に袋に入れて旅をする心情があっても不思議ではない。なぜなら土はその土地の貴重な情報を折りたたんでいるからである。その土を異国の地に撒けば、言葉にはならないかもしれないが、何かしらの意味が生じるはずである。
その土は、この世界の真の多数派である大量の微生物の棲家である。無数の微生物が呼吸をしてついには風を起こし、木々を揺らしているのがこの世なのかもしれない。
また絵具というものも広義にとらえると土のようなものである。
それを塗るという行為はとてもプリミティブで、スピリチュアルな、ある意味時間を超えていることだ。
表現も大切だが、その前にそのような裏打ちがなければならないと考えている。


nakaban個展『Soil from other land.』
会 期:2025年4月24日(木)〜5月11 日(日)
13:00〜19:00(CLOSED 4/30 , 5/7)
会 場: 本の轍(松山市 春日町13-9 春日ビル2F)

5/08/2025

8. Mai

 



大きい画を受注でパネルをつくる。
クランプはいくつ買ってもなぜか足らなくなる。
四方に支え枠をつけて、中心にも支えを一本つけ、できあがり。
支え枠の材が少しでも反っていたらNGで、真っ直ぐに乾燥されたものを使用しなければならない。






ホームセンターに行った時に思い立ち、葡萄棚を作った。
ビニールハウスのフレームの19ミリ径最小ユニットでキューブを作り、スクリューメッシュの柵2枚を天面に乗せるとサイズがぴったりだった。両者の固定には銅のワイヤーを使用した。
今かかえている仕事群がひと段落したらキウイ棚も作りたい。

5/01/2025

1. Mai (展示本日から)


久しぶりのURESICAでの展示、楽しく設営させていただいた。
シャビーな木の作業テーブルに描いてきた絵を並べ、植田さんとそれらを入れ替え差し替え、いつもとはまた違う趣の額に納める。
緊張感のある作業の連続で、終わった後のおさけの美味しかったことといったら。

ちなみに今日はURESICAの開店記念日でもあるので!祝いましょう。

4/29/2025

29. Avril

明後日5月1日から、東京西荻窪のURESICAで植田真さんとの二人展がはじまる。

明日は前日で搬入日なのだけど、URESICAで植田さんとお互いに見ていない作品を広げ、
即興的に組み合わせと題名の言葉を作っていく。それがいちばん楽しみなのだ。
多くが 2 in 1でひとつの作品となる。
タイトルは"parallel stamps" とした。
切手サイズに凝縮された画を対位法的に併置して、驚きの組み合わせを。

1日は植田さんと在廊させていただきます。ライブもあります。

4/27/2025

27. Avril

 



本日も本の轍へ。

移転オープンされたばかり。とても賑わっている。お店のロゴマークは福田さん。
外壁の看板にはVan Morrisonの No Guru, No Method, No Teacher.という言葉。

4/26/2025

26. Avril

松山。早起きして船に乗ってやって来た。

観光港からてくてく歩いて伊予鉄に乗る。

素晴らしい電車からの眺め、ミカンばたけ、カラスノエンドウやケシの花。

潮風にさらされた板を纏った家屋。いいところ。

光の質感の違いがより「南」を感じさせる。


というわけで、今日から二日間「本の轍」に居ます。ぜひどうぞ。


4/22/2025

22. Avril

 





松山の本の轍に送った絵の一部。
荷は無事に瀬戸内海を渡ったようだ。

タブロー制作はしばらく時が開いたので(別のお仕事をしていた)
ちょっと制作気分も変わったのか、絵の雰囲気まで変わったような気がする。

絵の話以外のことだが、額の木の部分、今回自分で製材した。
板を薄く加工するのはとっても大変なのだが、このたび設備が整った。
わっぱの弁当箱とかギターとか、薄くした板をさらに曲げてあってすごい技術だと思う。

4/19/2025

nakaban EXPO『Soil from other land.』



nakaban個展『Soil from other land.』

会 期:2025年4月24日(木)〜5月11 日(日)
13:00〜19:00(CLOSED 4/30 , 5/7)
会 場: 本の轍(松山市 春日町13-9 春日ビル2F)

或る土地に別の場所からの土を混ぜ込むことを客土という。
これは最近のわたしの好きな言葉で、絵を描く時もよくこの言葉を思い浮かべている。
発想や絵の具を混ぜ混ぜしながら完成を目指す絵画と、庭や畑での終わりのなさそうな土づくり。
これらはとてもよく似ている。
条件が整えば、時を置けば置くほどその土は呼吸を続け良くなっていくように、しばらく飾っていただくことで、
じわじわ良くなっていく絵。それがわたしの制作目標だ。
そのようなわけで、誰かの暮らしへの客土のように絵を提案できたらと思っている。
words by nakaban

新店舗のこけら落としは、画家・書籍の装画や絵本作家として活躍されているnakabanさんの個展です。
呉の海沿いにある小さな町のアトリエで、絵を描くのと同じように勤しむ花や果実を育てる庭づくり──。
近年のテーマとして取り組む「土」や「円環」といった言葉は当店名の轍にも通じるところがあり、
そんな「客土の旅」が感じられる絵が並びます。
昨年の夏に訪れたnakabanさんの庭にはたくさんの無花果に柿の木、小麦に大きなアーティチョークの花まで咲いていて、
それはもう素晴らしい風景でした。

4/26〜27は作家在廊予定あり。
4/27 には、nakabanさんがご愛飲されている呉市の伝説の焙煎店「深やき珈琲そにろき」の出店も予定しています。

四国では初となる展示です。
”じわじわ良くなっていく絵“を、ぜひあなたの日常に迎えていただけると嬉しいです。

link > 本の轍

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いつも直前になってしまいまして、ごめんなさい。
わたしにとってはじめての場所「本の轍」での個展。愛媛県松山市。
仕事場のある呉の友人「深やき珈琲そにろき」さんからのご縁で展示の機会をいただいた。

昨年のブラックバードブックスでの展示に続いて、自然、庭をテーマに描いている。
今回は特に客土という言葉を思いながら描いている。
でも絵の具も土みたいなものだから、何を描いても(結局)よし。
ステートメントにも書いたけれど、飾って飽きない絵を問いながらひとつひとつ描いていきたい。

4/17/2025

「めいすい」





浄水器で知られるMeisui社の広報誌「めいすい」の表紙の絵。

記事のほとんどはこちらの公式サイトで読むことができる。





4/13/2025

12. Avril

 






春になってツバメが戻ってくるころ、ミツバチの巣箱が騒がしくなったら分蜂の兆候。


巣箱の表面がミツバチだらけの真っ黒になる。

ミツバチを見慣れていない人が見たらびっくりしそうだ。

この時、ミツバチは巣分かれの見送り集団と出発集団に分かれるようだ。

出発集団は巣箱の近くの木や軒下に塊を作り、しばらくそこでモゾモゾして、そこから新天地へと飛んでいく。

これを見送るのもいいが、養蜂をする人たちはその塊を丸ごと捕まえて、巣箱を増やしていくわけである。


梯子をセットして、群れたミツバチの近くで待機する。

枝にとまった蜂の集団がスイカのように丸くなって、枝から垂れ下がってくる。

そして機を見て虫取り網でその塊を掬い取る。

この塊の状態は、一見恐ろしいのだが、実際はミツバチたちはおとなしい状態なのだ。

だが、その塊を網に掬い取ればミツバチはさすがに驚いて、大騒ぎになる。

すかさず網の口をダンボールでおさえ、雑に蓋をする。

ぽろぽろと隙間から蜂が逃げていくが、そのまま網を新しい巣箱の場所に運び、

巣箱の脚の部分、(説明が難しいが、木や鉄でできた天板のないテーブルにようなもの)に網を載せる。そのときまだダンボールは被せたままだ。

ミツバチでいっぱいの網の上に巣箱の最上段を被せる。

日本ミツバチの巣箱はただの空洞の枠を重ねているものなのだが、この巣箱のトップだけにはスノコ構造の空間が開いた蓋があり、そこが新しい蜂の巣の起点になる。


蓋をしていたダンボールをゆっくりスライドさせて抜き取る。

すると、ミツバチたちは網の部分から被せた巣箱へと昇っていく。

ミツバチは暗いところに集まる習性があるのだ。

この集団の中に女王蜂がいないと失敗だ。(実はわたしは先日失敗している)


しばらく待って空っぽになった網をそっと取り外し、代わりに巣箱の出入り口部分のパーツを台に乗せ、その上に蜂でいっぱいの巣箱のトップを載せる。

さっそく出入り口付近にミツバチが出てくる。

そのミツバチが、出入り口で羽根をバタバタさせている。

女王蜂のフェロモンを周辺に撒き散らして、外を飛んでいる後発の仲間を呼んでいるのである。

すなわち、女王蜂がこの巣箱に収まっているということを表わす。


ミツバチは新しい巣の周りを惑星のように周回して位置情報をチェックする。

そのとき、そばで観察しているわたしもチェックされる。

もちろん刺されるということはない。


一日経っても蜂が逃去していないのでこれで分蜂は完了。

というわけでミツバチ が二群になった。


追記>

その後逃げられ、また捕まえ、また逃げられ、また捕まえた。