4/22/2025

22. Avril

 





松山の本の轍に送った絵の一部。
荷は無事に瀬戸内海を渡ったようだ。

タブロー制作はしばらく時が開いたので(別のお仕事をしていた)
ちょっと制作気分も変わったのか、絵の雰囲気まで変わったような気がする。

絵の話以外のことだが、額の木の部分、今回自分で製材した。
板を薄く加工するのはとっても大変なのだが、このたび設備が整った。
わっぱの弁当箱とかギターとか、薄くした板をさらに曲げてあってすごい技術だと思う。

4/19/2025

nakaban EXPO『Soil from other land.』



nakaban個展『Soil from other land.』

会 期:2025年4月24日(木)〜5月11 日(日)
13:00〜19:00(CLOSED 4/30 , 5/7)
会 場: 本の轍(松山市 春日町13-9 春日ビル2F)

或る土地に別の場所からの土を混ぜ込むことを客土という。
これは最近のわたしの好きな言葉で、絵を描く時もよくこの言葉を思い浮かべている。
発想や絵の具を混ぜ混ぜしながら完成を目指す絵画と、庭や畑での終わりのなさそうな土づくり。
これらはとてもよく似ている。
条件が整えば、時を置けば置くほどその土は呼吸を続け良くなっていくように、しばらく飾っていただくことで、
じわじわ良くなっていく絵。それがわたしの制作目標だ。
そのようなわけで、誰かの暮らしへの客土のように絵を提案できたらと思っている。
words by nakaban

新店舗のこけら落としは、画家・書籍の装画や絵本作家として活躍されているnakabanさんの個展です。
呉の海沿いにある小さな町のアトリエで、絵を描くのと同じように勤しむ花や果実を育てる庭づくり──。
近年のテーマとして取り組む「土」や「円環」といった言葉は当店名の轍にも通じるところがあり、
そんな「客土の旅」が感じられる絵が並びます。
昨年の夏に訪れたnakabanさんの庭にはたくさんの無花果に柿の木、小麦に大きなアーティチョークの花まで咲いていて、
それはもう素晴らしい風景でした。

4/26〜27は作家在廊予定あり。
4/27 には、nakabanさんがご愛飲されている呉市の伝説の焙煎店「深やき珈琲そにろき」の出店も予定しています。

四国では初となる展示です。
”じわじわ良くなっていく絵“を、ぜひあなたの日常に迎えていただけると嬉しいです。

link > 本の轍

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いつも直前になってしまいまして、ごめんなさい。
わたしにとってはじめての場所「本の轍」での個展。愛媛県松山市。
仕事場のある呉の友人「深やき珈琲そにろき」さんからのご縁で展示の機会をいただいた。

昨年のブラックバードブックスでの展示に続いて、自然、庭をテーマに描いている。
今回は特に客土という言葉を思いながら描いている。
でも絵の具も土みたいなものだから、何を描いても(結局)よし。
ステートメントにも書いたけれど、飾って飽きない絵を問いながらひとつひとつ描いていきたい。

4/17/2025

「めいすい」





浄水器で知られるMeisui社の広報誌「めいすい」の表紙の絵。

記事のほとんどはこちらの公式サイトで読むことができる。





4/13/2025

12. Avril

 






春になってツバメが戻ってくるころ、ミツバチの巣箱が騒がしくなったら分蜂の兆候。


巣箱の表面がミツバチだらけの真っ黒になる。

ミツバチを見慣れていない人が見たらびっくりしそうだ。

この時、ミツバチは巣分かれの見送り集団と出発集団に分かれるようだ。

出発集団は巣箱の近くの木や軒下に塊を作り、しばらくそこでモゾモゾして、そこから新天地へと飛んでいく。

これを見送るのもいいが、養蜂をする人たちはその塊を丸ごと捕まえて、巣箱を増やしていくわけである。


梯子をセットして、群れたミツバチの近くで待機する。

枝にとまった蜂の集団がスイカのように丸くなって、枝から垂れ下がってくる。

そして機を見て虫取り網でその塊を掬い取る。

この塊の状態は、一見恐ろしいのだが、実際はミツバチたちはおとなしい状態なのだ。

だが、その塊を網に掬い取ればミツバチはさすがに驚いて、大騒ぎになる。

すかさず網の口をダンボールでおさえ、雑に蓋をする。

ぽろぽろと隙間から蜂が逃げていくが、そのまま網を新しい巣箱の場所に運び、

巣箱の脚の部分、(説明が難しいが、木や鉄でできた天板のないテーブルにようなもの)に網を載せる。そのときまだダンボールは被せたままだ。

ミツバチでいっぱいの網の上に巣箱の最上段を被せる。

日本ミツバチの巣箱はただの空洞の枠を重ねているものなのだが、この巣箱のトップだけにはスノコ構造の空間が開いた蓋があり、そこが新しい蜂の巣の起点になる。


蓋をしていたダンボールをゆっくりスライドさせて抜き取る。

すると、ミツバチたちは網の部分から被せた巣箱へと昇っていく。

ミツバチは暗いところに集まる習性があるのだ。

この集団の中に女王蜂がいないと失敗だ。(実はわたしは先日失敗している)


しばらく待って空っぽになった網をそっと取り外し、代わりに巣箱の出入り口部分のパーツを台に乗せ、その上に蜂でいっぱいの巣箱のトップを載せる。

さっそく出入り口付近にミツバチが出てくる。

そのミツバチが、出入り口で羽根をバタバタさせている。

女王蜂のフェロモンを周辺に撒き散らして、外を飛んでいる後発の仲間を呼んでいるのである。

すなわち、女王蜂がこの巣箱に収まっているということを表わす。


ミツバチは新しい巣の周りを惑星のように周回して位置情報をチェックする。

そのとき、そばで観察しているわたしもチェックされる。

もちろん刺されるということはない。


一日経っても蜂が逃去していないのでこれで分蜂は完了。

というわけでミツバチ が二群になった。


追記>

その後逃げられ、また捕まえ、また逃げられ、また捕まえた。


4/12/2025

EXPO: "parallel stamps" nakaban + makoto ueda




parallel stamps

 0 2 5 年 5 月 1 日( 木 )~ 5 月 1 9 日( 月 ) open 12:00~19:00 火・水休み

nakaban / 植田真、2014 年に開催された展覧会 「夜明けまでにはまだ時間がある。」から 11 年── 切手やポストカードをモチーフにしたあらたな試みを どうぞお楽しみください

live event:

「手紙は夜更けにやってくる」 nakaban(lightbox)× makoto ueda(guitar)

5 月 1 日(木)17:30 入場/ 18:00 開演 2,000 円(未就学児無料/小学生半額) 定員 30 名/事前予約制(uresica.net で販売)

URESICA

〒167-0042 東京都杉並区西荻北 2-27-9 03-5382-0599 
www.uresica.com

4/02/2025

2. Avril

 


彩の国さいたま芸術劇場のフライヤー(年間公演ラインナップ)に絵を描かせていただいた。デザインはGOATの柳沼さん。
今年度ずっと劇場に置いていただけるのが嬉しい。
早朝のプロムナードを思い描きながら制作。
見かけたらぜひいちまいお持ち帰りを。


2/16/2025

16. Février

北極の冷たい空気が天体の回転の遠心力であふれて、ときおり日本の上にかかる。
それで冬がさらに冷えているようだ。
キッチンのオリーブオイルもすっかり固まってしまった。
他人事のようだが、この時期、制作する絵も灰色のものが多い。
自分には珍しくある仕事で映像を制作している。

梅はまだ咲かない。去年より1ヶ月以上遅れている。
ミツバチが何匹か寒さに脱落して死んでいる。
それでも巣箱の中で丸く塊を作って暖めあっている。けなげだ。
この丸い塊全体が本当に一つの生命体のようである。

年が明けてから果樹をたくさん植えた。
洋梨、プルーン、ネクタリン、アーモンドなど。
果樹は超密植になってしまった。
ほぼバラ科なので、虫にやられたり病気になってしまうかもしれない。
南国系果樹のチェリモヤやロンガン、アセロラは面白そうだから植えてみたが寒さで枯れてしまう。レモンも先端部がきびしい。
香りコニファーのブルーアイスを数本植えた。ブルーアイスは何本あってもいい。

この庭、去年は棘のある野苺を取り除いていたが、今年は
つる日日草を抜いている。つる植物はぐるぐる巻きにすると枯れる。
逆に巻かないと陽に晒しても青いままでずうっと枯れない。これが不思議だ。

2/08/2025

8. Février



ここ数日の雪で電車やバスが停まってしまう。
寒いし、あれほど好きだった雪が憎くなる。(しばらく仕事場に行けていない)
でも立ち止まってみると、やっぱり雪や背景にひろがるブルーグレーは趣があって、寒さの手のかじかみなども案外悪くない。

目的やコストだけを見て生きることは幸せな生ではない。
そのことは思い出すには空白の時間を趣と捉え、かつ楽しむ余裕が必要だ。
しかし、そのためには多くの鍛錬や条件が要求される。

今いるこの世界のルールは、人々が趣を楽しむということをできないようにデザインされていると断言できる。システム側から見ればひとは単なる導電装置の中の粒子であり、ロボットや部品ですらない。

表現者としての自分を観察すると、政治情勢に無関心なふりをしながら、そのシステムでいいのか、とか、こういう心の扱いは良くないのではないか、とその作品に精一杯の余白を流し込み、遠回しな形で「過程」にある趣の大切さを世間に伝えているように見える。この状態で足踏みしていることが悔しくて、でもその先は見えてこない。

でも、まずはこの状態がわかっているかどうかが大切で、そうでもなければ、飼い慣らされているまま、そのまま終わってしまう感が半端ない。

2/04/2025

3. Février

 

マチエールは漆喰。以前より下地に何かを使うことが増えた。
庭の土や灰も使うことがある。
ストーブから取り出した炭でドローイングをするのも面白い。
表面に凹凸があると何もない状態より描き始めやすい。

この冬の光源の中で捉えておきたい気配がある。
まだ春は来てほしくない。

1/15/2025

トークイベントのお知らせ

2月8日、東京の青山ブックセンターでトークイベントが行われる。

この「まど・みちおの絵本」シリーズでわたしが担当したのは「水はうたいます」という作品。
編集者の松田素子さんとたくさん議論してつくった自分的大満足の作品。
その後続刊される作品もどれもすごくて圧倒される。
いつかこの画家さんたちにお会い/再会してみたいなあと思っていたところ。
東京にいらっしゃる絵本好きのみなさま、このまたとない機会。ぜひどうぞ。

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2月8日 夕方6時(開場5:30)から
場所:東京の「青山ブックセンター」
「まど・みちお没後10年記念 まど・みちおの絵本シリーズ  スペシャルトークイベント」を開催します。 

登壇者は、ささめやゆき nakaban   あずみ虫 きたむらさとし 
の画家4名。松田素子が編集者として司会をつとめます。