11/30/2023

Field Studies (4)

 







数カ所に穴を掘りしばらく満足していたが、その穴に枝を詰めた。
薪ストーブで炭をつくりそれも穴に投入。
牡蠣の殻をハンマーで割り、ばら撒く。
地中から次々出てくるレンガを積む。
果樹に絡みついた蔦をとりのぞく。

勘にまかせて、30分程度やることを決める。
とにかく楽しくて何をしても全ての行動に絵画と同じようにゲーム性があるように思う。

古い畳を土壁用にとってあったのだが、ふと、カッターナイフを入れて藁をむしり出して地面を覆ってみた。
畳一枚でも相当な面積を覆えることがわかった。
静まり返った野原。来年見てろよという気持ち。
あまりに灰色で寂しいのでアーティチョークを植えた。冬植えでも多分いける。

11/24/2023

〈nakaban+工芸青花「Anno Domini ロマネスクと私」〉小さな巡回展


ロマネスク美術(L'art roman)と自分の絵、全く関係ないようで、ぐっと関係が深くなってしまったと思っている。いわば、自分の絵を裏打ちしてくれているような世界。もちろん片想いである。
そうなのだけど、そういうふうに思いながら制作していると、古の世界と時間を超えてつながっているように、絵を描くときに心にいい風が吹いてくる。

丸みを帯びたかたち、アーチを多用する建物の様式、木と石のバランス、ひとに対するものの大きさの感覚など、影響を受けている?というのか?それを知るずっと前から自分の好み、気質が「それ」だったので、そういう自分にとって夢のような世界が昔の西洋にあったのかとびっくりしたのだった。
と書いているとまたいろいろ語りたくなってくる。。

お知らせ

2019年、工芸青花でおこなった「Anno Domini ロマネスクと私」展が東京のB&Bに巡回。
会期は11月25日から12月28日まで。

ロマネスク美術そしてzodiaque叢書への(自分なりの)オマージュ的な特別な展示だった。
その展示のあとに、作品を集めた素敵なポストカードのセット《Lettres à “Z”》を作っていただいたのだが、こちらも販売予定。

B&Bさんにぜひお出かけいただけたら嬉しいです。

くわしくはこちら

11/22/2023

「針と糸」


小川糸さんのエッセイ「針と糸」(朝日文庫)はとても人気の作品のようで7刷に。

新たなオビをつける、ということでお受けした装画は全オビと呼ぶものらしく、全体をカバーするもの。なじみとなった人気作品の本の印象を一新するためのものなのだそうだ。

ほとんど表紙、なのでこれをめくったらオリジナルの表紙があり、2枚の絵が楽しめる。上部にクリーム色の部分があるでしょう、これがオリジナルの表紙の部分。
ちょっとサイズが違うのは、これはオビですよと表明するということなのだろう。

両方とも装丁デザインは芥陽子さんだ。わたしは線画と水彩グラデーションを描いて芥さんが仕立てた。

日本でヨーロッパで自由に軽やかに生きる小川さんのエッセイ。
この機会に読み返してみようか。

11/20/2023

絵本「水はうたいます」

 

まど・みちおさんの詩「水はうたいます」が絵本に。
絵を担当させていただいた。
暑い夏の間、この絵本にとりかかっていたので、心の中は涼しかった。

編集の松田素子さんに作りかけのスケッチを見てもらった時に、オーケストラによるシンフォニーのようになるのではないか、という言葉をいただいて、一気に仕上がっていった。

一滴の朝つゆから、変化をしながらどこまでも旅をする水。
この詩はこんな言葉で締め括られる。

「水である自分の えいえんを」

まどさんがどうしてあの言葉を最後に書いたのか。
わたしは、ずいぶん前から自分の本体は水なのかもしれないと思っている。
意識的にも物質的にも。(タルコフスキーの映画の影響?)

だからその言葉を読んだとき驚いた。
サラッと最後にすごいの書いてあるなあ、と。
まあ、こんな話を掘り進めたらこの絵本とはまた違った話になりそうではあるけど。

それで、わたしは水のそばの人物や人の暮らしを描いた方がいいのではないかと松田素子さんとたくさん議論したけど、結局描かないことになった。
それでよかったのだと思う。水が変化しながら旅してゆくさまをただただ描く。そのことによって「水である自分」感じてもらえたらいいと思う。

書影の写真を撮ったけど午後の光があたってしまって、実物とはまた違った印象。
オビは青い素敵な色です。デザインはタカハシデザイン室(高橋雅之さん)。
なお表紙の絵は魚が泳ぎながら見ている水の世界はどんなだろうかと想像して描いた。

この絵本についての詳しくは、理論社のページをどうぞ。