1/31/2019

柴田元幸×トウヤマタケオ / J・ロバート・レノン『たそがれ』



柴田元幸さんが監修された英語教材のCD『柴田元幸ハイブ・リット』(2008)はオースターやミルハウザーといった作家自身が自作を朗読するという豪華なもので、今でもときどき聴きたくなる。

語り、読み、書き。
ことばをはなつひとの生みだす「熱」がこのころやけにまぶしい。
退路を絶つような前進の覚悟のようなものが必要なのがことばの世界。ゆえに研ぎ澄まされた鋭利な表現に近づく。

J・ロバート・レノンの「短さ」という短編はそのことを笑い話にしてあるけれど、笑えないひとには笑えない。

今回、柴田元幸さんとトウヤマタケオさんのコラボレーションをCDにするにあたり現場で関わることができた。

その現場とは絵をも含めたライブ収録で、とてもいい舞台だった。レコーダーは人知れず回っていた。

その緊張感も含め、ことばの達人と音の達人の出会いはより深いものとなって多くの人に届くだろう。

柴田元幸×トウヤマタケオ / J・ロバート・レノン『たそがれ』

●リリースツアー 高知から。そして岡山。
随時追加予定なのでignition galleryのサイトを参照されたい。


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アーティスト:柴田元幸×トウヤマタケオ
タイトル:J・ロバート・レノン『たそがれ』

カタログ番号:ign-002
レーベル:ignition gallery
発売日:2019年2月2日

収録曲数:9曲

パッケージ:ジュエルケース/32Pブックレット付き
小説:J・ロバート・レノン/柴田元幸 訳
ライナーノーツ:柴田元幸
ドローイング:nakaban
デザイン:横山雄
録音/ミックス/マスタリング:甲田徹
定価:2,200円+税

曲目:

1. coda
2. 道順
3. 軍服
4. Sofia
5. 紅茶
6. クーポン
7. たそがれ
8. 短さ
9. 追伸


1/27/2019

「負うて抱えて」

ぴかぴか新刊の本が届いた。
二階堂和美さんの本「負うて抱えて」。
絵を担当させていただいた。
祝島の風景、猫。

二階堂和美さんに初めて会ったのはまだ彼女が東京にいた頃で、どこかのライブハウスだっただろうか。アルバム「また おとしましたよ」の頃。
歌の合間のトークでおいしいお好み焼き屋さんの見分け方とか、ひいきの球団はカープとか広島ねたの話をライブの合間にしておられた。
歌もすてきだが、ことばがとてもスッと入ってくるひとだ、と思った。
それで挨拶をしたら「ガシー」と握手してくれた。 その感触は3日くらい続いた。

また時間が経ち、僕が広島に引っ越してきたときは「おかえり」と言ってくれた。広島にいながらにして仕事ができるのかなあと、あれこれ不安だったので、広島を拠点に活躍する芸術家先輩としてのそういうひとことがちょっと嬉しかった。

さて、この「負うて抱えて」はその広島でひろく読まれている中国新聞での連載が元になったもの。
毎週月曜日に伝統的な「洗心」という仏教のページがあって、そこにコラム枠があった。
その何年か前に彼女が雑誌「真夜中」に書いた「歌は私のなんまんだぶつ」はすごい文章だったので、この新聞連載の絵の依頼をいただいたことも嬉しかったけれど「これが読める地元のぼくたちはラッキーだ」と思った。またいつかはこれは本になるだろうし、なるべきだ、とも思った。
なので僕もとても良い緊張感で仕事に取り組ませていただいた。
絵を送ると、どんなに忙しくてもニカさんはちゃんとコメントをくれる。そういうところが本当にえらい。

というわけで、このことを書き始めたらこの何倍も書けるけれど、ひとまず。
ニカさんと桜井さんという中国新聞の記者、そして僕、の同い年3人で頑張った日々が本になった。
ニカさんの本といえば、の編集室屋上の林さんの編集で、矢萩多聞さんの素晴らしい装丁で、晶文社から。
最高の形だと思う。


1/26/2019


Subsequence Magazine
volume 1 2019-1st

楽しみにしてる。
http://subsequence.tv

青い本の旅・Titleから



東京、荻窪のTitleにて。
夏の陽射しに当たって色褪せた看板をリニューアル。

いまTitleでは展覧会「ことばの生まれる景色 完結編」が行われている。
この看板の色にも似た、青い本の原画の展覧会。

絵を観てくださっている方におそるおそる話しかける。好きな本、大切な本について語ってくれる。けっか、また読みたい本が増えてしまう。
この青い本もまた本が好きなひとたちに愛される本に育ちはじめている、という手応えをいただいた。
ありがとうございます。

僕自身はどちらかというと、おすすめの本をなに一つ読んでいない!と焦ってしまうひとの立場のほうに近くて、その、本を読むのがおそいとこぼしてしまうような仲間に手紙を書くような気持ちで、そのことを「あとがき」に書いたのだった。

東京の時間、あっという間だった。
名残惜しかったけど仕事に戻らなければいけない。でも今年は青い本とたくさん旅をすることになったので嬉しさは続く。

先日の熊本の町で会ったひとに教わって、東京のTitleで一冊の詩集を手に入れることができた。須賀敦子の訳したウンベルト・サバの詩集。(これもまた青い本。なんてきれいな言葉なんだろう。)
こういうふうに旅の中で心に種まきしているような、そんな体験がこの本の旅にあるのではないかという期待があるのだ。
単純に本の販売目的のためだけではなくなってしまっている。完全に自分の好奇心のほうが優ってしまっている。笑

Titleの辻山さんは、本の後ろの見返しのクラフト紙のところに件の本屋さんのスタンプを押していくのだと言う。
まるで巡礼者のスタンプのようだ。こういうの。
ああ、素晴らしいアイデアだ。悔しい!。
皆さんもいかがだろうか。
そしていつか旅とともにボロボロになった、でもスタンプでいっぱいの「ことばの生まれる景色」を僕に自慢してくれたら最高だ。

遠い記憶の中、スペインの田舎町のあちこちで巡礼の旅をしているひとたちに出会った。みんな誇らしげに僕にスタンプ帖を見せてくれた。
そのことをちょっとだけ思い出したものだから。


Title(東京・荻窪)〜1/29(火) 
橙書店(熊本)〜2/3(日) 

〈NEW!〉
スタンダードブックストア心斎橋(大阪)2/19(火)〜3/5(火)  
2/19 辻山良雄×nakabanトークイベント  

本のあるところajiro(福岡)3/13(水)〜3/24(日)


1/19/2019

青い本の旅・橙書店から

熊本の橙書店


熊本。初めは知らない町だったけど、この10年で福岡とともにもっともよく足を運んだ町。
いまでは少しずつ知っている人が増えてきてなんともいい感じ。
路面電車が走っているのも広島の町と同じなので落ち着く。
朝一番に着いて村上隆さんのキュレーションした現美の「Bubblewrap」展を観る。
すごかった。これは伝説的な展示になるだろう。「さかむら」でその展示について話す。

それから辛島町方面へ。
電車がなかなか来ないので商店街を斜めに走り抜けたらあっという間だった。
「ことばの生まれる景色」橙書店の展示。
予定の時間にぎりぎりセーフ。

じっくりみてくださる方が多く、とても嬉しい。
いかにこの本を作るのが楽しかったのかをお客さまに話す。
幾人かのお客さまが絵をご覧になった後、この本の絵の印刷の再現性の高さを褒めてくれる。これはこの本の自慢のポイントなので大いに頷く。
しかし、ちゃんとみられているのだ。こういうところを。
本もたくさんお買い上げいただいて、もう品切れしてしまうかも。

明日20日も橙書店に出勤。
これを読まれている方がいらっしゃるとして、もしよろしければ。
開店の11時30分から閉店の5時まで。






1/09/2019

nakaban × Title exhibition「ことばの生まれる景色 完結編」





東京・荻窪の書店 TItle で展覧会「ことばの生まれる景色」完結編が始まる。

ナナロク社から刊行された本を記念する展示。
やっとここまで来れた。
高い山に登ったような、うれしい気持ち。

過去三回のTitleでの「ことばの生まれる景色」で観ていただいた作品はもちろん、書籍用の描き下ろしであったため、今回初展示の作品もあわせて辻山さんのテクストとともに。
描き下ろし作品は大判のものもあり、見応えがあると思う。

また同書で紹介された本も並ぶそうなので、今年の読書のスタートをここから始めるのはどうだろうか?ナナロク社と書店のコラボレーションした栞も置かれ、この栞には会場で完成させるある仕掛けが施されている。

24日にはトーク「絵と文で本を旅する四十景」も開催していただく。これがとても楽しみ。

nakaban × Title exhibition「ことばの生まれる景色 完結編」
会場:Title  
2019年1月10日(木)ー 2019年1月29日(火)
12:00~21:00 水曜、第三火曜日定休日 
*イベント開催日(1月21日・24日・29日)は18時にて終了
Titleに24日、25日、おります。




そして、この「ことばの生まれる景色 」の展覧会を同時に熊本の「橙書店」でも。

遡ること2013年に橙書店で展示した「旅するブックシェルフ」という展覧会があって、今にして思えば、それはこの本のできる元になっている展覧会。
なので再び橙書店でこうして展示ができることが嬉しい。田尻さんありがとう。

2019年 1/12(土)〜2/3(日)
会場:橙書店 
月~土曜日 11:30~20:00 日曜日 11:30~17:00
熊本市中央区練兵町54 松田ビル2階

ぼくも橙書店にお邪魔します。
*1/19(土)15時〜閉店時間まで 1/20(日) open~閉店時間まで

nakaban

1/08/2019

CF

トウヤマタケオさんと柴田元幸さん(と J・ロバート・レノンさん)のアルバムのコマーシャル・フィルムを作らせていただいた。

J. Robert Lennonの小説を柴田さんが朗読、トウヤマタケオが音を添える。
洒脱にして真に贅沢な作品であり、とても楽しみなもの。

なお、撮影カメラはロストテクノロジー・sonyのHi8・3CCD(重い)、そして映像アスペクト比はがんこ一徹「4:3」に限ると考えている次第である。

それではご覧ください。

柴田元幸×トウヤマタケオ/ J・ロバート・レノン『たそがれ』。

(attention: 音が出ます)

レーベル:ignition gallery
カタログ番号:ign-002
収録曲数:9曲
パッケージ:ジュエルケース/32Pブックレット付き
小説:J・ロバート・レノン/柴田元幸 訳
ライナーノーツ:柴田元幸
ドローイング:nakaban
デザイン:横山雄
録音/ミックス/マスタリング:甲田徹
定価:2,200円+税

曲目
1. coda
2. 道順
3. 軍服
4. Sofia
5. 紅茶
6. クーポン
7. たそがれ
8. 短さ
9. 追伸
小説
1. 道順
2. 軍服
3. 紅茶
4. クーポン
5. たそがれ
6. 短さ

1/06/2019

La neige est arrivée.. .



雪の落ちてくる空は暗い灰色で、子どもの頃はその量感を持った暗さに心ひかれていた。
見上げた目にもときおり雪が入る。
痛くて冷たくて気持ちいい。
天上の昏みと地上の暗みが呼応して、どこか中空できしり、きしり、と音をたてている。
とても小さな音。

12/31/2018

31.Dec

12月31日。自分語り。
今年は僕にとって本の年だった。

本のかみさまが舞い降りてきて、ぼくを締め切りでぐるぐる巻きにした。
そのおかげで多くの本に関わることができた。

素晴らしい詩集やエッセイ本、食、児童文学など。
そして数々の街を彩る雑誌たち。本ではないけれどお酒のラベルも描いた。
仕事場の本は増え続けるけれど、見本誌ってポストに届くと嬉しい。見本酒はまだですか?

今年は忘れられない三つの本を出すことができた。

一つは「窓から見える世界の風」。
世界を旅するように、住むように。
窓から目には見えない風を眺める。
福島あずささんの解説で風の詳しくを識り、絵で空想旅行を。
こんな本を作ってしまっていいのだろうか?というくらい自由で、好きで、とても楽しみながら作ることができた本。

もう一つは「ぼくとたいようのふね」。
闇と光を前半と後半でおおきく対比させながら船で行く旅の絵本。
この本でもう絵本と決別してもいいかなあと思うくらいやり切った。
というのも、図らずもぼくの過去の絵本の要素が少しづつ集まったような総集編のような本になったからだ。
でもだからこそ、みたことがない新しい絵本を作りたいという思いが当のこの絵本からもあふれている。頑張った自分。
いま、次の絵本の絵を描いている。

そしてもう一つは、つい最近の「ことばの生まれる景色」。
この青い本は時代時代で読まれ方が変わっていくだろう本だと思うので、それをみてみたいと思う。この本を売って行きたい。でもぼくは何もできないので原画展をひらいてもらって話をしに行く。来年はあちこちに行きたい。
大晦日の今もその展示のためのマット切り中。

この3冊をほぼ同時期に出せたことが本当に感慨深い。
本屋さんがたくさん応援してくれた。今までなかったことだけど本屋さんからお手紙までいただいた。とても嬉しい。
そしてもちろん本を手に取ってくれる人たちがいる。
皆さんに深い感謝を。

こういうことを思うと熱量が上がっていく一方なので、来年は少し落ち着いて静かなパッションで絵を描きたいと思う。
本も作らせていただけそうなのでいいものにして発表できたら嬉しい。

今年はブラジルの国立博物館の所蔵品が火事で焼けてしまったという事件があった。
その記事を読んだ時に不意にとても落ち込んでしまったのを覚えている。
遠い自分とは無関係な、その瞬間まで知らなかったもののはずなのに、記憶の宿った大切なモノが永遠に失われるとわかった途端に悲しくて胸が痛くなるのだ。
これは一体どういうことなんだろう?
そのようなことを考えながら来年は絵を描いてみたいと思う。

12/29/2018

新版「野の道」と「狭い道」








「火を焚きなさい」に続き、再び山尾三省さんの本に絵を描かせていただいた。
「野の道」と「狭い道」の復刻新版。
この仕事の絵のことを考えていたころ、ランテルナムジカのツアーがあって、立てつづけに屋久島と盛岡に行った。しかも屋久島から盛岡に直接の移動だった。
この2冊を繋ぐような展開にすごく意味があるような気がして、道を味わいながら歩いた。
屋久島のTabiraさんがいつも連れて行ってくれる「クリスタル岬」へと続くなだらかな下り道が「狭い道」のモデル。あちこちに生えているクワズイモの葉が好きだ。

「野の道」の方は「詩人の道」を描いたので現実離れしている。賢治の好きだったオリオンとかエンタシス(ギリシャの柱)とか。
でもやっぱり盛岡の中津川の道を思い浮かべながら描いた。

新版 野の道 ―宮沢賢治という夢を歩く 解説:今福龍太
新版 狭い道 ―家族と仕事と愛すること 解説:早川ユミ
2018年 新泉社刊