今年も株式会社メイスイの冊子「めいすい」の表紙の絵を担当させていただいた。
この素晴らしい冊子の記事は、こちらで読むことができる。⚫︎
編集は50ノ音の大石美樹さん。デザインは長尾純子さん。
四月。新芽が芽吹く、花がひらく。一日経てばもう雰囲気が変わっている。
どの色も印刷では再現できない色。
零れ種から生えてきたのか宿根なのか、あちこちに生えているヤグルマギクを移植し、育てることにひそかに情熱を注いでいる。
なんてことはない花だ。でも惹かれる。
このヤグルマギクは、丈夫でたくさん増えるのに、野山ではなかなか見かけない。
移植した小苗もひと月も待てば銀緑の茎がスルスルと伸びて、蕾も膨らみ、もうすぐ咲きそう。
小苗から枯れるまで、終始眺めていると、すごくゆっくりと花火が打ち上げられているみたいだ。
早起きして「パン屋塩見」へ。
石窯でのパン焼きを見学させていただく。石窯のある工房は暑くて、塩見さんは半袖だ。
こんなに暑いので発酵が進んだ焼く前のパンを一時避難させる少し温度が低い部屋がある。
窯から出できたカンパーニュはどれもとてつもなく愛らしい。もちろん美味しい。
新宿駅からも歩けるロケーションにこんな石窯があって、その蓄熱を近所の方々に解放されている。要予約だが、ルクルーゼなどに食材を入れて持ち込めば、窯の中に入れてくれる。
塩見さんは、わたしが共同窯の絵を描いたのを画集を見て知ってくれて、連絡をくださり、その絵を買ってくださったのだ。その絵を包んで持ってきた。収まるところに収まってしまった絵にとなって嬉しい。パン屋さんの販売スペースに飾ってくださるようだ。そこにはマメさんのすごく美味しそうなパンの絵もある。ひとときも休むことなく仕事をしていた塩見さんはかっこ良かった。
午後、twililightに向かい購入した本を読んだり接客したりした。
知っている人にも知らない人にも会う。絵をじっくり見てくださっているのを少し離れて眺めていた。絵を描くときの、それが好きではあるが、やはりの孤独感の「冷え」が溶かされていく。夜はテントパシーの設営。金沢で行ったテントパシーの布を海太郎さんが保存しておいてくれた。それを使ってぐるりと囲えば、あっというまにあの金沢のときの続きのような空間が出来上がる。
twililightのイベントに持ち込むつもり。
「いちりんご」さんにいただいたりんごの木箱を庭に長期間放置して熟成、A3大にサイズを変更したもの。
A3の大きさだけど、やはりカメラが近いため全体を撮影できず、でもA4程度の描画と投影が可能。
この島の光と湿度に当たったもの、海の波のかたち、木々の育ち方や葉の差し出し方、ひとの目の色、声のイントネーション、石垣の積みかた、ものものの色褪せ方、書いていくときりがない。あれこれ無理なく取材する。はは、雨の予定が晴れてしまっている。森には行かない。たんかんの果樹園には用事があって。あの自然に引っ張られることなく自分のこころかどう反応するか。
熊本での個展が始まった。
移転して新しくなった「さかむら」はやはり超絶良い。東京の西麻布のお店のころから変わることのない、さかむらさんならではの雰囲気。
そしてわたしの絵も過去イチその場所に馴染んで、とてもいい感じなのだった。
いざとなれば絵の手なおしを、と画箱を持ってきたが杞憂だった(鞄が重たい…)。このまま屋久島に行くので短期滞在だけど島で一枚くらい描きたいなあ。
今回は黒を効かせた絵が多い。しばらくこういう絵がつづく予定だ。海の絵なども海面が黒めで、その絵を随分長いあいだじーっと眺めているお客さまがいて嬉しかった。立てかけた絵、絵を見る人、夜更けのランプの組み合わせ。その絵を描きたくなった。
わたしが入稿した展覧会のDMは画面が真っ黒につぶれ、DMの機能を果たしていない。本物のほうは気に入っていただけると自負しているので、ぜひ熊本「さかむら」でご覧いただきたい。
作業場に昔はパン棚だったという木の棚がある。Anchoretで購入したもので、ただの角材の寄せ集めなのでアンティークにしては安価だった。それに描きかけの絵を並べ、絵の具の油分を揮発させながら一次発酵のように寝かせておく。そしてしばらくして絵を取り出し画台に戻すと、その絵に描き初めの段階とは違う視点を持ち込むことができる(←根拠のない自信)。
「さかむら」は昨年移転して、その近くの満月ビルという建物の中に入ったので、前より展示できるスペースが減ってしまったらしいのだが、わたしは正直以前の会場が広すぎた、と思う。個展のスペースじゃありませんて。と毎度思っていた。
なので今回は少し落ち着いて絵を多く描き進めて、厳選して当地に送る予定。
昨日はランテルナムジカとLAGBAG MUSIC ORCHESTRAのライブだった。
わたしの荷詰めのミスで輸送中にメインの絵を描く画台の箱が壊れてしまい、修理して本番に挑んだ。前日に会場入りできてよかった。
このワインの木箱を改造した箱はもう15年は使ってしまっている。
この中に角度45°の角度で鏡が入っていて、上部の透明板の上に絵を描き、それがランプの灯りによって透過され、45°の鏡を通って、カメラが撮影、それプロジェクターから映すという、単純な作りだ。わたしはこの装置?の発明者なので楽器の名称のようにLightboxと呼んでいる。幻燈というと少しロマンチックすぎるので無機質な呼び方が好きなのだ。
でもやっぱり宣伝で「幻燈」と書いてもらうとお客さまの反応が良いから幻燈という呼び名でもいい。
丁寧に練られたアンサンブルの中、絵を描けて至福の時間だった。途中、わたしが絵を描くのを止めてシンバルを鳴らす場面があり、緊張感があった。
LAGBAG MUSIC ORCHESTRAのオリジナルの曲も少し聴くことができて、とてもよかった。オーケストラの皆さんが面白い方ばかりで、再会を願って別れた。今後が楽しみ。
とても丁寧に企画を進めててくださった上山さん夫妻、オーケストラのみなさん、編曲の鳥越さん、ワークショップを仕切ってくれた中尾さん、そしてお客として来てくれたみなさん。ほんっとうにありがとうございました。
わたしのおみやげは、終演後の打ち上げでいただいたオーケストラの楽団員の園田さんと市耒さんの運営される果樹園「昼ノ月果実」の桜島子みかん。桜島の麓の蜜柑園か…いつか見学に行きたい。
リハーサルが行われた。鹿児島 新屋敷町 LAGBAG MUSIC TOGO の音楽室にて。
タンゴ、フォルクローレなどの南米の大衆音楽をベースに世界中の大衆音楽を吸収し、進化を続ける田中さんと助川さんの音楽。その作曲の成果の発表の場でもあるOTTO。(オーティーティーオーと読むがオットでもいいらしい)
そこにとても馴染んで絵を描けて、楽しい時間が続く。曲の合間にいきなりある紳士がとなりに来て、きみ、今の絵、最高だなあ。欲しいなあとおっしゃる。ダメですよ、と言い、でも自己肯定感爆上がりで嬉しかった。描画がノって来たいいタイミングで手づくりのランプのアームがガクンと折れ曲がって、笑ってしまう。そうこうしているうちに、ああ、残り曲も少なくなってきてしまう。終わってしまうのが寂しいなあと思った。曲調も相まって泣きそうになりながらヘナヘナな線をひいた。
田中さんは一緒にあちこち旅して長い付き合いになって来ているけど、今回初めてだった助川さんはとても喜んでくださり、再演を誓って別れた。曲がすごく良くて残り3枚しかないという助川さんのソロアルバムを無理に頼んで売ってもらった。
打ち上げはお店で開かれて、福間さんのお母さんがおにぎりを握ってくれて、「むしやしない」のケータリングまで手配してくださって、最高だった。お客さまに出されたコーヒーはハルカさんの特別ブレンド。先日の名古屋のときから手づくりのライブ、幸せの再確認が続いている。
この数日キセルのアルバムをたくさん聴いている(いつも聴いているけど)。
春のかすみのようなのに妙に手ざわりを感じるキセルの音楽。
キセルとのライブは昼夜2公演あって、ふたを開けてみたら内容が全然違うのでびっくりしている。
あれこれたくさんの絵を描く日になりそうだ。
今日がついに来てしまった。
ライブをします。
もうすぐ、17日 kicellと 名古屋のバブーシュカ
24日 OTTOと 広島の傘のフクマ
2月1日 Lanternamuzica 鹿児島のLAGBAG MUSIC TOGO HALL
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キセルとの再会が楽しみ。
キセルの前のアルバム「ザ・ブルーアワー 」も好きだったけど、新しいアルバムはすさまじい。
このアルバムを聴いていると、いや、キセルの今までのどのアルバムにも「その」ニュアンスがあったのだなあ、と気付かされるが、「その」の部分を的確に言い表わすことはできず、強いて言えば「キセル感」という単語で言うしかない。その純度が高いのが、作家としての意思が強く伝わってきて嬉しいし、尊敬してしまう。
「観天望気」からの曲、やってくれるかな。わたしもごそごそ、あれこれ 準備した。
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広島でのOTTO のライブも迫ってきた。
OTTOの田中庸介さんと助川太郎さん。南米の音楽を中心に世界中の幅広い民衆音楽へのリスペクトを独自の音楽に昇華する素敵天才なお二人。
彼らのツアーの旅の途上、広島公演にゲスト参加。
音楽の力でフクマの店内が異国の酒場や食堂になったり石畳の広場になったりしそう。
田中さんは一緒に作品「ponto nodal」を作ったニャボセボの田中さんでもあります。
わたしは絵を描くことしかできないけど、世界あちこちのいわゆるworldmusicをアトリエで聴きまくり、Latina誌を愛読していた世界のフォークロア音楽ファンなので、僭越だけど絵と音楽が「合う」と思います。
ゲストに呼んでいただいて本当にうれしい。そしてフクマさんえでライブをするのは本当に楽しい。
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そして久しぶりのランテルナムジカ。
鹿児島の楽団 LAGBAG MUSIC ORCHESTRAとの共演。今トウヤマさんとオーケストラの上山さんがその日のためだけに意見交換しながら曲をアレンジしているらしい。音楽家どうしのそういう共同作業はカッコよくて羨ましい。ランテルナムジカとしても本当に久しぶりで気分盛り上がっている。子どもたちの作った作品も投影予定。
トウヤマさんの最新作「音楽室」も培って来られたものの極まりのような作品で、ピアノひとつの研ぎ澄まされたような曲が多い。キセルのアルバムと共時的に通じるものがあると思うのはわたしだけだろうか。
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自分にしては珍しくライブが続く。音楽家の凄さを思い浮かべて書いていたら自分でも元気が出てくると思ったのでちょっと書いてみた。
でも誇張はしていない。本当にすごい人たち。
今年はどんどんライブやりたい。
「 古都 (Eard Ceaster) 」