
楽譜とはなんだろう?
現代の音楽家が楽譜をつくる意味とは。
きっとiTunes時代の今こそ意味がある事だと考える。
秋のはじめ、トウヤマタケオさん、阿部海太郎さんと会い、その時すでに進行中だった楽譜プロジェクトについて話し合った。
お二人から楽譜出版への意気込みがグッグッと伝わってきた。
デザイナーの麻衣子さんも含めこのメンバーでなければできない仕事をしよう、と決意。
真夜中、たったのひと見開きなのに、黙々とおたまじゃくしを描く。
ピアノが無いのでバンドネオンで試奏。するとつぎつぎ見つかる描き間違い、電子メールでも次々と"神経質な"修正依頼が駆け込んでくる。
みんな誤植がこわいのだ。
それをつぶさに修正していく。
やはり楽譜を残す事の重み、それは計りしれないもので、なにかとんでもなく無謀な事をやっているのではないだろうか、という不安をあじわった。
しかし、与えられた楽しみはその不安を上回るものであった。
少しづつ、トウヤマタケオさんのentréeという短い曲にかけられた魔法の一端がみえて来た。
さいしょ、私にとってはタイポグラフィー&印刷的な興味から始めた作業であった筈が、しだいに楽譜という言語そのものへ魅せられ引き寄せられていった。
音楽的な内容に踏み込んだ意見も作曲家本人にどんどん出した。出せる様になった。今思い出せばおそれ多い。
やっぱり楽譜って面白いな、と思った。
(西洋のこうした文化基準がかつて世界中へ侵略・伝染、したのだ、という歴史の暗い部分含めての苦い味わい…でもそれが言語というものなんだなあ)
デザイナーの麻衣子さんも活版の印刷所と凄くたいへんなやり取りをしたらしい。
当の活版印刷所も過去に例をみない大作業だったとか。
完成した今ではつくった人、受け取った人、みんながにっこりしている。
よかったよかった。そろそろ次の曲に行きます。
*楽譜は主にトウヤマタケオ・ライブ会場で販売されております。直近では12日、横浜!