4/28/2019

絵本の制作

絵本のための絵を描いている。

十数枚の絵を同時に並べて描く絵本の原画。
並べてみて、最も進んでいない、もしくは現状が気に入らない絵が出てくる。
それが現時点で最も重要な仕事の糸口となる。
正直、気が進まないのだが、その絵に手を触れなければならない。
ただ、手を触れさえすればいいのだが…

そしてその周回遅れの一枚がいつのまにか最も好きな絵になっているように描きかえてゆく。

その繰り返し。

4/27/2019

“スヰヘイさん”のショップカード

富山の古道具屋さん「スヰヘイ」のショップカードのための絵を描かせていただいた。
焼きしめたビスケットのようでもあるし、真鍮のラッパのようでもあるし、年月を経た紙のようでもある。
よい感じのアメ色の夢。
そのような演出を含めたデザインは山本あゆみさん。

金沢の白鷺美術の「スヰヘイ」展の会場で店主さんとお会いしたので、じつはお店には未だおうかがいしたことがない。いつかの楽しみな予定として大切にしている。

4/23/2019

23.apr

山尾三省のアンソロジーのタイトルは「五月の風」。
その刊行予告が出版社のサイトに掲載されている。
光栄にもふたたび絵を描かせていただいた。
「火を焚きなさい」の続編だということで、今回も風のかたちをロマネスク的解釈で。
出来上がったら二冊を並べてみたい。
この本と共に過ごす五月が楽しみ。

五月の風 山尾三省の詩のことば



4/22/2019

22.apr

ライブツアーのとき、僕は丘にさしかかった道を登っているような気持ちになる。
いつ丘のいただきが見えてくるのかわからない。
ごろごろと画材と機材の入ったトランクを牽いていく。
でもその旅が進んで行くと、だんだんと向こうの景色が見えてくる。
見たことのなかった景色がひらけはじめる。
立ち止まると、それをなんだか信じられないような気持ちで眺める。

今は帰り道だからまだ終わっていない。
つまり、まだ丘から降りてきてはいない。
薄まったとはいえ「丘の上のとくべつな空気」を吸いながら僕はまだ浮かれてしまっている。
友人たちと別れを惜しみ、次回のための小さないたずらを仕掛け、土地毎に日毎に少しづつ違う空の色を確かめ、帰りの切符を買う。
ほんとうに丘のふもとに降りてくるのは、いつもの仕事に戻ったときだ。


4/19/2019

19,apr

東京に到着。
今日から3日間のツアー。
東京、仙台、そして盛岡。

ここ最近、ある仮説を持っている。
表現はそこにいる全員と作られるのではないかということ。
これは比喩とか、表現者としての謙譲とか、来てくれるお客さんを褒めようとか、そういう話ではない。
舞台の上でパフォーマンスをする側と同じくらい、いや、それ以上にその客席にやってきて、聞いたり観たりする人の力は強い。トークイベントのときにもそれを感じた。
それは毎回違った時間になり、ほんとうに誰にとっても未知の磁場が生まれる。
失敗もある。だかそれが、その未知の何かと比べてなんだというのだろう。

ひとりで仕事をしているときとのおおきな違いだ。

4/09/2019

9.apr



ライブ・ドローイングのためのライトボックス。
天気も良かったので川岸に運んでサンドペーパーをかけた。

中身ががらんどうで、一枚鏡が入るけれどそれ以外はなにも仕掛けが無い。


4/07/2019

Throwing a Spoon / Bored to death



徳澤青弦(チェロ)とトウヤマタケオ(ピアノ)のデュオ "Throwing a Spoon"。
2nd album.

ジャケットに起用していただいた。版画。

Bored to death = 退屈で死にそう。

その名をつけられた曲を聴くと、見事にそんな感じが表現されていて面白い。
野原の上で、ビルの屋上で。眩しげに、ただ銀色の雲を眺めている。
そういう無のような時間こそ、いつかやってくる命の終幕の瞬間に思い出すのだろう。
6曲の短いアルバム。
曲どうしは互いに響き合う。
今の季節にぴったり。

cote006 Throwing a Spoon / Bored to death
1.Rondeau
2.Epitaph
3.Arp
4.Bored to death
5.Pew, Mew, Drink, Brink
6.Quartet


4/04/2019

20日。火星の庭にて。



今日、コーヒを飲みながらコーヒーをお皿にとってコーヒーだけを画材に絵を描いた。
水彩絵の具とは違う色のエッジがあらわれる。その性質の違いに感動した。

それはそうと。
仙台に行くのが楽しみ。
火星の庭」に降り立つのはいつぶりだろう。
多分「旅するブックシェルフ」の展示のとき、辻山良雄さんとトークをした時以来だ。
あのとき、まだ辻山さんはまだリブロにいらっしゃって、夜におさけを飲んでいたらお店を始める計画を打ちあげられた。
それが今のTitleのことだったのだ。

そして今度は、Titleの辻山さんと作った本「ことばの生まれる景色」の原画を展示していただくことになった。
レイ・ブラッドベリの本の絵も描いておけばよかっただろうか。
けれど庭主の前野さんにブラッドベリの「火星年代記」とはあまり関係ないって言われたかも。

「火星の庭」にはトウヤマタケオさんと行ったこともある。
多分ランテルナムジカが「アラバキロックフェスティバル」に出たときだ。
ロックフェスティバル…。ランテルナムジカはロックなのでよろこんで出演した。

火星の庭でじっくり本を楽しんで、そのとき、ピアノもあるし、いつか火星の庭でライブが出来たらいいねーと話していた。
それがついに実現してしまう。
ランテルナムジカの今をたっぷり楽しんでもらえるプログラムにしたい。

展覧会は18日から。→ 〜5/6(月)そしてライブは20日

「ランテルナムジカ」と「ことばの生まれる景色」
企画:ignition gallery +火星の庭 協力:ナナロク社
センス素晴らしフライヤーのデザイン:横山雄。
ライブお問い合わせ ご予約はこちら。
あるいは下記のメールで。

日程:2019年4月20日(土)
開場:19時 開演:19時30分
料金:3500円+1ドリンクオーダー
出演:ランテルナムジカ(トウヤマタケオ&nakaban)
定員:40名さま
予約:book cafe 火星の庭 
kasei★cafe.email.ne.jp(★を@に変えて)
イベント名『Lanternamuzica』リリースライブ、お名前、ご連絡先、ご予約人数を明記の上、メールをお送りください。

4/03/2019

3.apr

お知らせを二つ。


*1

今日から大阪のblackbird booksで「ことばの生まれる景色」原画展

コミックからソール・ライターの写真集まで、小さい空間ながらも濃密で何時間でも居られるとても素敵な本屋。詩を静かに応援している熱い本屋。
グリーンもあったりマシンで淹れるコーヒーも飲めたりと洒落ている。

本展示のためのお店のデザイン・スタンプも出来ている筈なので青い本の旅のスタンプ巡礼はいかがだろうか。
16日は本書をめぐるトークイベント「絵と文で本を旅する四十景 〜本屋の店主対談・大阪編〜」が。
関西の方、ぜひどうぞ。
辻山良雄(Title店主)×吉川祥一郎(blackbird books店主)

4/16(火)19:00~20:30
参加費:1500円 定員:25名様
ご予約はblackbird books店頭、お電話(06-7173-9286)、メール(info@blackbirdbooks)にて承ります。




*2

1日発売の雑誌 Pen vol.472 にて絵本をいくつか紹介いただいた。
比較的硬派な絵本が多く取り上げられていて、さすがはPen。

自作では賢治の「フランドン農学校の豚」が大きく取り上げられていて嬉しい。
この作品は完読するのがいろんな意味で大変だけど、ぜひ多くの人に読んでほしいし書棚にストックしてほしい本だ。自分で言うのもなんだけど。
ぜひ書店でどうぞ。「泣ける絵本。」特集。



4/01/2019

1.apr


朗読者のことばが発せられ、次のことばを待つ。
そのわずかな真空に誰もが息をのむ。
物語はたえず生まれ変わり続けていた。
その特別な時間は、進むでもなく戻るでもなく、ただ、生まれたり死んだりしながら存在していた。
折りたたまれた誰かの人生が、開かれては、とじられていた。

音楽家の出す音は、確信犯的な忘れ物のよう。
その音楽は、わずかながらも、たしかな質量を持っているかのようだった。
ときどき壁に当たり跳ね返っては床に転がった。
別の旋律は境界の向こうに消えていった。雨上がりの町の光を映すガラスに。深く息する夜更けの壁に。私たちの心に。

私の手の先の鉛筆。その先の打った点。
微小な粒子を振りまきながら線に変わろうとする、それがやけにスローモーションに見えた。
ただひとつの線をひくだけなのに、どこかに本当に存在するたそがれ時の丘を描いているという不思議な実感。あれはいったい何なのだろう。

ことばと音と絵のつくったもうひとつの「たそがれ」。
もやいを解かれた船のように、あの時間はさまよい、存在し続けるのだろう。
もう誰も辿りつけないような海のようなところに。

岡山から高知へ。
「たそがれ」の旅。
お越しくださったみなさまとつくった時間。ありがとうございました。

次回は東京で。