トウヤマタケオさんの最近の作品に「遠い」という曲があります。
ゆっくりと「遠い」という言葉が繰り返し歌われ、ピアノの和音の深まりと共に、本のページをめくるように遠くの視界が刻々と開けてくるような曲です。
私の絵本「みずいろのぞう」も遠くに行くということをテーマにしたもので、あたらしい絵本の、内田麟太郎さんの詩による「うみべのいす」も海の向こう、遠くを想うおはなしです。考えてみたらアニメーションの「三つの箱」とか「der meteor」もどこか遠くに行くストーリーです。
ここ最近の日課でノートに描き連ねる空想旅行のドローイングもそれに連なるものといえます。
あー遠くに行きたい。
…
…
…日常が嫌になってと甘えた気持ちは脇に置いておいて、何をしていても心のどこかでうっすらと遠くを想うことにはもっと静かで透明な気持ちがあったりする。
ただただ地平線を見つめていたい。
道のかなた、自分が風景の中のちいさな豆粒のように、埃みたいに消えてしまってあの地平線と同化してしまいたい。
そこには見送る自分と旅立つ自分が同時に存在していて合図を送りあっているはずです。